食養生のレシピ
白湯が薬に?ドーシャ別に白湯を煮詰めて作る「薬用白湯」のレシピ
公開日: 2025.06.17 更新日: 2025.06.17
水を沸かしたお湯「お白湯」ごく簡単な飲み物のように見えて、実はアーユルヴェーダでは薬と言っても過言ではないくらい重宝された飲み物の一つです。
健康意識の高い方は白湯はすっかり身近な飲み物になっていると思いますが、電気ポットで沸かしたものやウォーターサーバーの「HOT」から出るものまで白湯だと思われている節があります。でも実は、アーユルヴェーダの古典書には
- 沸かす時間
- 蓋をするかしないか
- どこかで汲んできた水か
- 摂取する時間によって異なる効能が期待できる
ことがちゃんと紹介されているのです。
たかが白湯、されど白湯。
正しく知って、効果的に摂るようにしましょう。今回はさらに効果を高める「薬用白湯」のレシピもご紹介します。
白湯の最も重要な効能は「食欲を強めること」他には?

「寝る前の一杯の白湯でデトックスを促す」効果については以前こちらの記事でご紹介しました。
古典書には「夜間に白湯を飲むと、カパとヴァータ、アーマと脂肪組織を軽減させ、食欲を強め、暴行を浄化し、咳と呼吸困難と新しい熱病を癒す」と記載してあります。アーマとは未消化物のこと。
これによって、
- 倦怠感
- 寝つきや目覚めの悪さなど睡眠の悩み
- 気持ちよくお腹が空いて食事が美味しくなる
- 尿が出て老廃物を排出する
- 便通を促す
などなど、さまざまな効果が期待できるのです。
すごいですよね!飲まない手はありません。
白湯の正しい温度は何度くらい?作り方は。

「白湯飲んでます!前の晩に沸かしたものを、翌朝飲んだり」
といったお声を聞くことがあります。
ただし、白湯は「フーフー言わないと飲めない温度」が約束。
沸かしてから時間が経ったものは白湯ではなく「湯さまし」です。
もちろん湯さましにも役割はあるので、それについては後ほど紹介します。
というわけで、白湯は「フーフー言わないと飲めない温度」というのをよく覚えて利用してください。
次に、作り方。
今は電気ポットや電子レンジなどいろいろ便利なものがありますが、白湯はできるだけガスの火で沸かしましょう。アーユルヴェーダでは「火がpitta、火を煽る風がvata、大気中の水分がkapha」ということで、電気ではなくガス(または焚き火など)など火口を使って白湯を沸かすことで、vata/pitta/kaphaのエネルギーを取り込むことができることが大事、としています。
一方、やかんなどは何の素材を使えばいいか?これも気になりますよね。
アーユルヴェーダには「鉱物学」というのがあって、鉱物にもそれぞれドーシャとの組み合わせがあり、知っていると例えば宝石の身につけ方まで自分に合ったものを選べるようになるのが面白いところです。
「その土地で慣れているもの」も重要なので、日本だったら「鉄瓶」がいいかもしれませんね。
ちなみにeatreat.ではヨーガンレールの「銅のやかん」を使っています。銅も効果が高く、料理の道具としても味がまろやかになるのでおすすめ。銅も鉄も安いものではないですが、一生の道具としてお気に入りを購入するのはおすすめです。
白湯が薬になる!薬用白湯のレシピ

普段の白湯は「沸いたら蓋をとり、少ししたら火を止める」といった感じで、気軽に作ってもらって構いません。一方で、時間があるときはじっくり煮詰めてみると、ドーシャを鎮静する「薬用白湯」になります。簡単なので、参考にしてみてください。

- 3/4まで煮詰めたら...vata鎮静
- 1/2まで煮詰めたら...pitta鎮静
- 1/4まで煮詰めたら...kapha鎮静
これは古典書に記載のある薬用白湯のレシピ。
400ccで煮始めた場合、300ccまで煮詰めたらvataを鎮静し、200ccまで煮詰めたらpittaを鎮静し、100ccまで煮詰めたらkaphaを鎮静するということになります。
白湯は「消化力を強め、未消化物を排出する」が主な効能。たくさん煮詰めてその効能を高めると、3ドーシャの中でも最もデトックスが必要なkaphaを鎮静し、そんなにデトックスするというよりも温めて滋養が必要なvata鎮静ならほんの少しに詰めるだけで良く、その中庸が半分煮詰めてpitta鎮静。ということになるんですね。おもしろいですよね。
自分はどのドーシャを鎮静すればいいか?わからない場合は季節や天候を見て、決めてみましょう。
- vata鎮静...風が強いとき、急な寒暖差、梅雨、台風、木枯らしが吹く頃の初冬
- pitta鎮静...5月から中秋の名月までの暑い期間
- kapha鎮静...寒さが厳しい厳冬から桜が咲く頃の春先まで
どうでしょう?これだったら試すことができそうですよね。
もちろん、極端に何かのドーシャが乱れている場合、どのドーシャがわかっている方はご自身に合わせて選ぶと良いでしょう。
私自身はPittaが優勢で、とにかく夏場が苦手なんですが、朝イチの涼しい時間帯に半分まで煮詰めた白湯を飲むようにしたら、だいぶ身体が楽になりました。
白湯と湯さまし、どういうシーンで使い分ける?
外を歩くのが怖くなるくらい猛暑が続く近年。
こんなに暑いのに「フーフー言わないと飲めない温度」の白湯が果たして適しているかというと、決してそうではありません。
夏場はクーラーが聞いた寒い部屋や、朝晩の涼しい時くらいで良く、そのほかは「湯さまし」で十分。Pittaを鎮静するという意味でも「生の水」ではなく「一度沸かした水」であることがとっても大事です。真夏に水道の蛇口から捻って出しただけの水をごくごく飲むとなんだか気持ち悪い...そんな経験があったなら、夏場のpittaの乱れと消化力の低下が疑われます。暑すぎて、消化力が落ちていると、水まで消化するのが難しくなってしまうんですね。
これは「発熱しているとき」も同じなので、風邪などを引いて、熱が出ている時には無理して白湯を飲まず、湯さましにした方が効果的です。運動後の飲み物も湯さましの方がいいですね。
というわけで、あつ〜い時期には夜寝る前に白湯を沸かし、一杯飲んでから、残りはそのままにして翌朝から「湯さまし」を飲むと良いのではないでしょうか。
朝の身支度をしながら白湯を沸かす時間をルーティンにしよう
いかがでしたでしょうか?
ただのお湯だと思っていた白湯もこんな隠された効果や、薬用にも展開できるとはびっくりですよね。
そして普段使いの白湯としては、一旦沸かせば良いので、これまで取り入れてこなかった方も少し気は楽になったのではないでしょうか。
それでも「なかなか沸かす時間がない。面倒に感じる」という方は、まずはお気に入りの道具を手に入れること。それを使って、朝の身支度をしながらゆっくり煮詰める時間を楽しんでみてください。夏場はともかく、冬の朝に白湯を沸かしていると、蒸気で心まで温まって、気持ちのいい1日をスタートさせることができますよ。
白湯ライフを楽しんでくださいね!