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桜が満開となり、続いて木蓮も花開いて、ただ歩いているだけで贅沢な気持ちになる春の盛り。
寒い間はサボっていたけど「そろそろ運動しようかな?」という人も増えているのではないでしょうか。

ランニングを始めてみたい。でも身体がかえって酸化すると聞くし...
ジムに行ってみたい。でも契約したところで本当に通うかな...

運動をなかなかできない時は、理由をつけて先延ばしにしてしまいがちです。
アーユルヴェーダで一番運動をした方がいいのは「冬」
というわけで春の今は少しタイミングを逃してしまったのですが、気候も良く、どこを歩いていても新しい花が咲いていて身体を動かすには気持ちのいいシーズンです。

そこで、アーユルヴェーダで運動をどう捉えているのか、まずは知ってから自分に合った運動を始めてみましょう。

アーユルヴェーダで運動は体力の1/3!目安は?

例えばランニングをしようとするとどれだけ走ったか、散歩ならあの公園を何周したかなど、ついつい目標を立ててそれを達成することを目指しがちですよね。でも、人はみんな毎日コンディションが違うもの。これは季節や年齢、元々の体質にもよるものですが「今日と昨日の自分も違う」ので、昨日の自分には適切でも、今日の自分にはオーバーワークになっている可能性もあります。

今日の自分に十分な運動量か、それは次の項目でチェックします。

  • ぜえぜえ、はあはあ、息が上がった
  • ほっぺがほんのり赤くなり、しっとり汗ばんだ

このサインを見つけたら、アーユルヴェーダでは「はい、今日の運動はここまで」ということになります。これが体力の1/3で、運動はその量で十分なんだそうです。

必要以上に体力を消耗することはvataを憎悪することに繋がり、痩せ過ぎたり、乾燥したりして、運動をたくさんして身体は絞られていっても、心が不安や心配に包まれてしまう可能性があります。

もちろん、プロのスポーツ選手は体力の1/3以上に運動をしなければならない局面も多くありますが、メンタルコントロールもしっかりしており、負荷をかけた身体を回復するマッサージやストレッチも欠かしません。

一般の私たちは同じようにはいかないので、体力の1/3のサインをちゃんと見極めて、それを毎日続けることが大事ですよとアーユルヴェーダでは言っています。

ドーシャでみる適切な運動は?

  • vata-梅雨/台風/初冬

vataが優勢な方、または梅雨/台風/初冬のシーズンでvataが憎悪しやすい場合。身体は痩せていて、乾燥しやすく、末端冷え性の方が多いです。運動をしていなくてもエネルギーをたくさん消耗しているので、バタバタしないように、少しのんびりすることを意識するくらいが健康でいられます。

そのため、運動は「ブラブラする散歩」「ヨガなら床に寝転がってできる、負荷の少ないアーサナ」などが良いと思います。

  • pitta-夏から秋

気温が最も高い時に人の体力(=消化力)は最も低くなります。気温と力は反比例するので、真夏の暑い時は食欲もないですよね。にも関わらず、気候が良く、レジャーシーズンなので海や山に出かけて長時間外で身体を動かしがち。

でも、環境の中にあるpittaは頭上の太陽から吸収され、人の体内のpittaも憎悪するので、外に長時間いるのは本当に危険。夏に蓄積したpittaは秋ごろになって悪さを始め、炎症を起こしてしまいます。夏の終わりの肌荒れや消化不良、下痢などに悩みがちな方は、真夏にはしゃぎ過ぎないこと。

pittaが優勢な人、または優勢になる季節には、クールダウンを意識して屋内でゆっくり水泳をしたり、森や高原でゆっくり散歩してリラックスを心がけるとちょうど良い運動になります。

  • kapha-厳冬から春

一番寒くて、こたつやお布団と仲良くなりたい厳冬から春にかけて、kaphaドーシャが憎悪します。実は最も人の体力があり、たくさん運動ができるのがこのタイミング。夏や初冬には走りきれなかった距離を走れたり、負荷のある筋トレをしてみても、ついていける自分にびっくりするかもしれません。元々の体質がvataやpitta寄りでも、この時だけは季節によって体力も変動するのを実感することができます。

そのため、このシーズンは少し長い距離を歩いたり、ゆっくり走ってみたり、ヨガでも立位のアーサナを増やして少し自分に負荷をかける感じにすると、心が晴れ晴れとしてきます。胸を開いて、やってくる新しいシーズンに向かうつもりで深呼吸すると、気持ち良いのではないでしょうか。

いかがでしょうか?
こうして読んでみると、自分はvata体質なのにマラソン大会に出たいなと急に走り込みを始めて膝を壊したり、kapha体質なのでいつまでも動けなくてなんとなくぽっちゃりしてしまっている...pitta体質なのに少しvataも入ってて夏に海に行きがちで秋に毎年炎症を起こしている。
などといったことが起きているかもしれません。
せっかく健康のためにする運動なので、自分の体質を乱さないものをチョイスして、無理なく楽しく続けてもらいたいなと思います。

一番簡単なのは散歩。体質別に楽しみを作って、まずは歩き出そう。

私の恩師はよく「あなたの前に道はある。ただ歩き出せばいい、それだけだ」と言って笑っていました。みんななんだかんだ理由をつけて、なかなか運動を始めないからです。

ただ、どんなに良い食べ物を食べて、良い寝具でぐっすり眠っても、運動をしなければ自分の身になっていきません。巡らせるには、運動をするしかないのですが、意気込んでしまうといつまで経っても始めることができず機会を逃してしまいます。

そこでおすすめなのが「散歩」普段着でよく、ただブラブラ歩くだけで良いのですがポイントがいくつかあります。

  • 散歩は午前中に。せめて10:00までには外に出よう

アーユルヴェーダのドーシャには「時間とドーシャ」という概念があり、どの時間帯をどのドーシャが支配しているかが決まっています。日の出から最初の4時間は「kaphaドーシャ」の時間。つまり、緩慢で重く、この時間にダラダラしていると倦怠感が生まれやすくなる時間です。

たっぷり8:00や9:00まで寝たけれど、なんだかその日1日はだるくてあんまりイキイキとした1日ではなかった...そんな経験はないでしょうか?その場合、朝のkaphaの時間にダラダラ寝ていたので、kaphaが体内に蓄積して、身体が倦怠感でいっぱいになってしまったんですね。

運動はこのkaphaの時間に動き出すことがポイント。8:00より前が理想ですが、難しければ10:00より前にはなんとか、でもいいですし、玄関を開けるのが難しかったら、バルコニーに出て朝陽を浴びるだけでも十分です。

  • 「自分に合わせた」散歩に出よう

散歩の話をすると、体質によって反応が本当に違うなぁと思います。
vata体質の人は「とにかくルートを決めることができない。毎日あちこち違うところ行っちゃうし、寄り道もしちゃう」と言うし、
pitta体質の人は「ゴールを決めないと歩き出せない。だいたいあそこまで行こうとか決めて達成できると楽しい」と言うし、
kapha体質の人は「ルーティンにハマることが楽しいので、毎日毎日同じ道を歩いてもう5年目です」などと言います。

あんまりドーシャに合わせたやり方をしすぎるのも良くない場合もありますが、まずは続けることが大事なので「自分のドーシャが喜ぶ」やり方でいいんだと受け入れてください。

つまりvataの人は寄り道して時折ストップしてもいいし、pittaの人は今日はあのタワーまで行こうと決めて歩き出せばいいし(ただし体力の1/3が来たらストップと約束)kaphaの人は毎日ひたすら同じ道を歩くので十分です。

春はkaphaのシーズン。kaphaは命を育む力でもあります。重く、冷たく、どっしりとした土のエネルギーがあるから新しい芽吹きが生まれ、新しい花が咲いて、歩いているとその姿にたくさん会うことができます。

春のkaphaのエネルギーを探しながら、まずは朝の散歩から、運動を楽しんでみてくださいね。

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