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起き抜けの身体で、すぐにお腹が空いてもりもり食べる人もいれば、そうでもない人もいる。お腹は空くけど、食べていいのか悩んだり、パンがいいのかご飯がいいのか。朝ごはんの議論は尽きないようです。

朝ごはんは食べるのが正解?体質別に考えよう

アーユルヴェーダ的に考えれば、朝ごはんを食べるべきか否かは「その人・その季節による」というのが回答になります。

Vataが優勢な人は温かいスープにギーを入れて

Vataが優勢な人、つまり痩せ型で線が細く、よく動きエネルギーの消耗が多いタイプの方は、朝にある程度のエネルギーチャージをすることは大事です。ただ、消化力にムラがある傾向があるし、食欲にもムラがあるはず。毎日同じものを食べようと決めても、なかなか続かないのでは?

なので色々食べてもいいけれど、消化に負担がなく、かつお腹を温めるスープは必ず一つつけるのがおすすめです。もっといいのはギーを垂らすこと。これで油性が取れて、一日を安心してスタートさせることができます。

Pittaが優勢な人はしっかり食べてもOK

Pittaが優勢な人は、朝起きた瞬間からお腹が空いているのではないでしょうか。それに加えて、1日を効率よくスタートさせたい気持ちも一杯なので、毎日同じルーティンでしっかり食べても消化ができ、お昼前にはお腹がまた空いているなんてこともあると思います。

そのため、消化力がしっかり燃えている意識があるPitta優勢なタイプの方は、朝ごはんはしっかり食べて大丈夫。ご飯に味噌汁、魚とお浸しなどいわゆる和定食を食べると心地よくスタートさせることができそうです。

Kaphaが優勢な人は食べなくても大丈夫

のんびりさんのKaphaが優勢な方は、朝起きてもしばらく食欲がわかないのが通常。「朝ごはんはしっかり食べないと1日が生き生きしない」「美容に悪い」などの考えは思い込みに過ぎないので、忘れてしまいましょう。Kaphaの消化力は起きるのも遅いので、朝ごはんは無理して食べなくても大丈夫。ただ、お昼に向かって代謝を上げていくことは大事なので、温かいお味噌汁を一杯、飲むだけでもいいかもしれないですね。

季節の変化も見過ごさないで。消化力はみんな違うことを意識しよう

朝ごはんをどうやって何を食べるかというのは、その人の消化力に合わせて考えることが大事ということがわかったと思います。体質によって顕著に現れるので、特にKaphaが優勢な方は「食べたいとか食べたくないじゃなくて、食べられない」ことが多いはずです。Pittaが優勢なお父さん、Vataが優勢なお母さんに挟まれて、Kaphaが優勢なお子さんがもしもいたら、なかなか朝ごはんが進まないことについて怒ってしまったり、無理やり食べさせようと頑張っていないでしょうか。

消化力はみんな違うので、無理して食べて、消化に負担をかけすぎると、その人らしい1日が送れなくなってしまいます。体質を見て、消化力を見て、その人に合わせた朝ごはんの時間を送れるといいですね。

ちなみに、体質がPitta優勢で、消化力はある程度強いとされていても、夏場は誰もが消化力を落とすので、季節ごとに見直すことも大切です。冬場はたっぷり食べられても、夏場はそうでもないな?と思ったら消化力が落ちている証拠。

代謝を上げることだけ優先して、温かいスープ一杯で止めるのもいいかもしれないですね。

夏の朝ごはんに食べて涼しく過ごそう。滋養の「牛乳粥」のレシピ

消化力が落ちて食べる気もなくなる夏。
それでも日中のエネルギー消耗が激しいので、食べておかないと不安です。
そんなとき誰でもおすすめなのが「牛乳粥」。
アーユルヴェーダのスタンダードなお粥の一つです。

牛乳粥はスジャータが施したブッダの養生粥

手塚治虫の『ブッダ』を読んだことはありますか?
物語の中盤、苦行を積んで心身ともに疲弊し川で沐浴した後倒れてしまったブッダを、近くに住むとある裕福な家の娘・スジャータが発見し、助けようとつくって施したお粥が牛乳粥です。ブッダはこの牛乳粥によって回復し、その後程なくして、菩提樹の下で悟りを開きました。

牛乳粥はそれだけ滋養があり、食べる人を安心させ、疲れた心を癒す食事です。
夏場は誰もが体力を減少させ疲れやすくなっていて、また、日々太陽から浴びる熱が体内にこもり涼しく過ごす工夫が必要です。

朝の一杯に牛乳粥を食べると、不思議とその日1日を涼しく過ごすことができるようになり、心も穏やかになります。レシピを紹介しますので、ぜひお試しください。

牛乳粥のレシピ

 

牛乳で米を炊いて甘くして食べるレシピは「リー・オレ」と言ってフランスの方々もおやつに食べたりと、実は世界中にあるレシピです。日本人にとっては牛乳と米を甘くして食べるなんて?という感覚かもしれませんが、食べてみると本当に美味しいので、騙されたと思って試してみましょう。

<材料>2人分

  • バスマティライス 1/4cup ※日本米でも可
  • 牛乳 500cc
  • 黒糖またはきび砂糖 お好み
  • ナッツ(生)、ドライフルーツ(レーズンなど)
  • ローズペタル(あれば)お好み
  • 非加熱の蜂蜜 お好み
  • ギー お好み

<作り方>

  1. お米をさっと洗ってからたっぷりの水と共に鍋に入れ、お粥状になるまで弱火で優しく茹でる
  2. 1が水気を調整しつつ、牛乳を足し、砂糖を加えて溶かしながらさらに5分ほど弱火で茹でる。この時、焦げないように木べらでそっと混ぜること
  3. 皿に盛り、ギーを回しかけ、ナッツやドライフルーツ、ローズペタルを飾っていただく。
  4. 非加熱の蜂蜜は甘味を追加したいときに使うこと。

<注意点>

  1. 非加熱の蜂蜜は、牛乳粥がすっかり冷めてから加えること。アーユルヴェーダでは蜂蜜は非加熱のもののみを重んじていて、加熱してしまうとかえって未消化物を作りやすくなるので、お粥が熱々の状態の場合は使わない
  2. 牛乳と塩の組み合わせは、食べ合わせが悪く、未消化物を作りやすいため、砂糖と組み合わせて甘くして食べるのが牛乳粥です。そのため、砂糖の代わりに塩を使ってはいけないし、牛乳粥を食べるときは単体で食べて、塩を使った他のおかずとともに食べることは避けるようにしてください。

牛乳粥、どんなことに効果があるの?

牛乳粥は冷性で油性のある牛乳を主役にした、甘く優しいお粥です。冷たい性質によってクールダウンし、油性や甘味によって疲れた人の身体を十分に滋養します。そのため、特に次のようなときに食べることをおすすめします。

  • Pittaが蓄積しやすくなる夏場
  • Pittaが優勢な体質の方
  • 疲れがなかなか取れない方
  • 湿疹や蕁麻疹など、何らかの炎症に悩む方
  • 妊娠を望んでいる方、またはご出産を控えている方

牛乳粥は、私もアーユルヴェーダスクールで勉強している頃に、校長先生が卒業前に自ら作り、朝食にどうぞと授業が始まる前に食べさせていただいた思い出の料理の一つです。食べる人を労り、その人の滋養になるようにと心から願いながら作ることが大切。牛乳とお米を甘く食べるなんて、とイメージがつかない人もいるかもしれないですが、心のこもった牛乳粥は、修行で倒れたブッダを回復させ、悟りへと導いたくらい尊い存在。

ご自身のために、もしくは誰かのために、日常の中で作ってみてくださいね。

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